NYと歴史と地価
NYの家賃相場
NYの家賃はとても高い。
- Midotown
Studioで2,000-3,000ドル、1ベッドでプラス1,000ドル~ - Upper east
Midtownにプラス1,000ドル~。2Bedroomで8,000ドルの物件も普通にある。 - Willamsburg/Astoria
Midtownマイナス1000ドルくらい。それより外に行くともっと安くなるか。
数十年前は500ドルで2ベッドは普通だったという話。
インフレの影響は置いておいて、数十年で家賃水準が10倍に上がっている。一方東京は家賃変動はそれほど大きくない。(定量的に見たいところだが一旦置いておく)ここでの疑問は2つ。
- なぜ、8,000ドルにまで家賃があがったのか?
- なぜ、8,000ドルという家賃が存在しうるのか?
なぜ、家賃は8,000ドルにまであがったのか?
行政の政策
転機は2人の市長。
ルドルフ・ウィリアム・ルイス・ジュリアーニ3世(Rudolph William Louis "Rudy" Giuliani III, 1944年5月28日 - )は、アメリカ合衆国の政治家、弁護士。
1994年1月1日から2001年12月31日までニューヨーク市長を務め、凶悪犯罪の撲滅および市の治安改善に大きな成果を挙げた。アメリカ同時多発テロ事件発生時には大統領ジョージ・W・ブッシュと共にテロリズムとの闘いを宣言し、「世界の市長」と称賛された[1]。通称:ルディ、ルーディ。
割れ窓理論で治安回復を図った。警官を大幅増員して徹底的に浄化。ささいなことですぐ逮捕したとも。治安回復の次は当然経済の活性化で、観光ビジネスを復活させた。
マイケル・ルーベンス・ブルームバーグ(Michael Rubens Bloomberg、1942年2月14日 - )は、アメリカ合衆国の実業家、政治家。ブルームバーグ創業者で、第108代ニューヨーク市長。
検察官の次はビジネスマン。治安の良くなった街に民間投資を呼び込み、地価を大幅に押し上げる。弱者切り捨てで、家賃が払えない人はマンハッタンに住む必要なし、と切り捨てる。
賃貸契約の仕組み
日本の借地借家法は借主に手厚いので、住み続けた場合の家賃の値上げはハードルが高い。一方こちらでは契約期間をくぎって契約するので、その契約更改のタイミングで新しい家賃をオファーされる。それを新たに契約するか/しないかの二択になるので、元の家賃で住み続ける選択ができない。そのため、家賃水準が急速に変化しやすい。
なぜ、8,000ドルという家賃が存在するのか?
ドルで書くとピンとこないが、月90万円である。月30万が平均で、100万近い物件も普通にある。供給があるということは当然需要があるわけで、それだけの家賃を払える人がここには大量にいるということになる。
ファンド、製薬会社、起業家、投資家が億単位でもらっているという話だが真相はいかに…
ちなみに、平日昼間でもアパートには結構人がいる。なぜこの人達がこの家賃を払えているのか本当に謎。。
逆に割を食ったのがもともとNYに住んでいた人たちで、家賃が払えずほとんどが郊外へ出ていってしまったよう。現在の住人も、数年NYで稼いで別の都市に移る、というスタイルが一般的で、ローカルのニューヨーカーと呼べる人はとても少ないんだそう。
東京はどうなる?
家賃水準の上限は所得によって規定されるので、例えば年収2,000万だったとしても税金で40%引かれたうちの30%が家賃とすると月30万。見え張って額面の30%だと月50万。タワマンの上層階の賃料相場がこの水準だろう。
NYの事例を見ていると、健全な地価上昇のサイクルは以下を繰り返すことで回るのでは。
収入アップ⇒高い賃料負担が可能になる⇒キャップレート上昇⇒不動産に投資が集まり取引価格上昇・キャップレート低下
何よりもリスクを取ってサラリーマンでは手に入れられない収入を得る層をもっと増やす、すなわち起業家と投資家が増えることがやはり重要なのではないだろうか。これは東京に限らず、地方でも同様。イノベーションがそのエリアの成長の原動力になる要因の一つではないかと思う。
備忘:この他のネタ
- アフォーダブル住宅
- 米国の労働生産性
- 限界費用ゼロ社会
*1:話のウラをとったわけではないので、必ずしも正しいとは限りません